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『 川の底からこんにちは』

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朝から曇り空。草取り日和。裏の庭の草取りを始める。ペパーミントの根っ子と格闘して終わる。暑くはないが汗をかいてしまった。昼食は大戸屋で野菜鍋を摂る。午後からは雨になる。干しておいた洗濯物を娘が取り込んでくれていた。汗で汚れた身体を早めに風呂に入って落とし、ビデオを見る。昨夜に続いて、今夜も娘の所で夕食になると言う。13日にワイキキの宿泊している部屋から撮ったダイヤモンドヘッド方面をアップする。今日見たビデオは、『 川の底からこんにちは』 ドラマ 2009年 日本 。監督を務めたのはPFFアワード2007でグランプリを受賞した石井裕也。この作品はそんな少壮気鋭の監督が妥協の人生を送っていた女性を主人公に作り上げた、おかしくも感動をおぼえる人生応援歌だ。父の病で実家のしじみ工場を継ぐことになった佐和子が、どん底に追い込まれながらも奮起する姿を、独特のユーモアとセンスで生き生きと描いていく。主人公の佐和子を演じたのは『愛のむきだし』などで演技力に高い評価を受ける満島ひかり。ある意味ではごくごく普通現代の若者を、確かな存在感をもって演じている。その姿に共感しつつ、明日からの日々を過ごす元気をもらえる作品だ。妥協した生活を送るOLが、実家のしじみ工場を継いだことから人生に立ち向かっていく姿を描く人間ドラマ。第60回ベルリン国際映画祭フォーラム部門招待作品。上京して5年目のOL・木村佐和子(満島ひかり)は、職場の玩具製造会社の上司・新井健一(遠藤雅)と付き合っている。バツイチで娘・加代子(相原綺羅)がいる健一は頼りないが、いつも男に捨てられてきた佐和子は不満に感じることもない。主人公の木村佐和子(満島ひかり)は何でもかんでも「しょうがない」と努力もせずに諦めてしまうヒロイン。だから5人目の彼氏・新井健一(遠藤雅)のことも好きだからというより、“中の下”の自分にはこの程度の男がお似合いだって思ってる。自分の努力の足らなさを棚に上げ、ある日突然会社の厳しさから逃げるために辞表を出し、毛糸編みに凝って、子供のために東京を離れてエコライフを送りたいなんぞと言い出す始末。要は自分が駄目なのを人のせいにして逃げる典型的な最低男なのでした。要は自分が駄目なのを人のせいにして逃げる典型的な最低な男。長引く不況に将来への展望は全く見えず、金もなければさりとて才能があるわけでもない、もちろん人より秀でているところなんか全然なし。本作はそんな佐和子たちと同じ“中の下”の我々に対する応援歌。最悪ではないが、中の下の女の子なので、高望みはできないと考えているが、その立場を全面的に受け入れられず、つねにビールでストレスを解消しようとしている。上京してからはや5年、職場は5回変わり彼氏も5人目、日々流されるように生きていた。ある休日、3人は動物園を訪れる。そこで健一は佐和子にプロポーズするが、唐突なことで佐和子は戸惑う。そのとき、佐和子の叔父・信夫(岩松了)から、佐和子の父・忠男(志賀廣太郎)が入院したと電話が入る。一人娘の佐和子は実家のしじみ工場を継ぐよう求められるが、佐和子は決心がつかなかった。しかし健一は会社を辞め、佐和子の故郷で工場を一緒に継ぎたいと言い出す。実質的には、変な玩具を作って会社を首になった挙句の決断。佐和子は健一と加代子を連れ、実家に帰る。しじみ工場・木村水産の従業員のおばちゃんたちは、駆け落ちして父を捨てた佐和子を無視する。しかし、単なる駆け落ちではなく、母親が死んだあと、父が女性従業員を家に連れ込んでは、侵す姿を見て、いたたまれず、高校時代のテニス部の部長と家を出たもの。経理の遠藤(菅間勇)以外やる気を感じられない工場の経営は、悪化の一途をたどっていた。健一は佐和子の幼なじみの友美(鈴木なつみ)と浮気をして、家を出ていく。佐和子は駄目で何が悪い。駄目だからバツイチと付き合うと言って開き直る。ある日遠藤は佐和子に事業報告に来る。もう来月は越せないと言う。そこで、佐和子は急変してやる気を出す。従業員を集めて仕事への決意を語り、協力をお願いする。私は、駆け落ちした女です。私は中の下ですから、頑張るしかないんです。佐和子は工場に乗り込み、おばちゃんたちに胸の内をぶちまける。するとおばちゃんたちも、男で失敗した経験を打ち明け始める。そこで、従業員たちも、5回も駆け落ちした女だ、そん所そこらの女と違うと、意気投合した佐和子とおばちゃんたちは、工場の経営再建を目指す。佐和子は新しい社歌を作り、毎朝全員で歌うようになる。その歌は「しじみのパック詰め、川の底からこんにちは」とか「ダメなら政府を倒すまで!」と言う威勢の良い歌だった。すると、次第にしじみの売り上げも上がっていく。父の葬儀の日に、健一は友美にも降られてかえってくるが、あんたも駄目な人間だけど、しょうがないから、明日から頑張ろうと言って佐和子は受け入れる。自分が本当に大したモノではないんだという事実を認め向かい合う、それはまるでシジミが「川の底からこんにちは」と出てくるがごとく、自分の心の底の劣等感、言い換えれば弱さに「こんにちは」したのではないか。現在の若者の心情を面白く描いた傑作だ。
by kittajp | 2011-05-22 15:05 | ハワイ等
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